WordPressのメンテナンスモードとは?おすすめプラグインと解除手順

Webサイトをリニューアルしたり、デザインを修正したりする際、作業中の不完全な状態を訪問者に見られてしまうのは避けたいですよね。「WordPressのメンテナンスモードってどうやるの?」「設定は簡単?」「解除できなくなったらどうしよう…」そんな不安をお持ちではないでしょうか。ご安心ください。この記事を読めば、初心者の方でも迷うことなく、安全にメンテナンスモードを設定・解除できるようになります。これまで500件以上のWordPressサイト制作に携わってきた専門家として、プラグインを使った簡単な方法から、少し応用的な手動での設定方法、そして万が一のトラブル解決法まで、あなたの疑問をすべて解決します。この記事を最後まで読めば、自信を持ってサイトの更新作業に取り組めるようになるでしょう。

この記事を書いた人

Webデザイナー・Webコンサルタント
Web制作会社、Web担当者を経て独立。17年以上の実務経験で培った制作スキルとSEOノウハウを活かし、現在はSTARRY代表としてWordPressサイト制作・集客サポートを提供。ランサーズ認定ランサー。ランキング上位受賞多数。

目次

WordPressのメンテナンスモードとは?サイト更新時に必須の機能

WordPressにおけるメンテナンスモードとは、サイトのリニューアルや更新作業中に、一般の訪問者に対して「現在メンテナンス中です」といった案内画面を表示し、サイトの裏側(実際のコンテンツやデザイン)を見せないようにするための機能です。

作業中のサイトは、表示が崩れていたり、機能が正常に動かなかったりすることがあります。そのような未完成の状態をユーザーに見せてしまうと、プロフェッショナルでない印象を与えたり、ユーザーを混乱させたりする可能性があります。メンテナンスモードは、こうした事態を防ぐための、いわば「工事中の覆い」のような役割を果たします。

メンテナンスモードが必要になる主なタイミング

具体的には、以下のようなタイミングでメンテナンスモードの利用が推奨されます。

  • テーマ(デザインテンプレート)の変更や更新
  • 大規模なサイトリニューアル
  • 新しいプラグインの導入やテスト
  • WooCommerceなどのECサイトでの商品一括登録やシステム更新
  • サーバーの移行作業

軽微なブログ記事の投稿やテキスト修正程度であれば不要ですが、サイトの表示や機能に大きな影響が及ぶ可能性のある作業を行う際は、必ず設定するようにしましょう。

なぜメンテナンスモードが必要?ユーザーとSEO双方のための配慮

メンテナンスモードを設定する目的は、大きく分けて2つあります。

一つは、ユーザー体験(UX)の維持です。前述の通り、表示崩れやエラー画面はユーザーに不信感を与え、サイトからの離脱に繋がります。一時的にメンテナンス画面を表示することで、「現在対応中である」ことを伝え、ユーザーに安心感を与えることができます。

もう一つは、SEO(検索エンジン最適化)への配慮です。もしメンテナンスモードを使わずに作業を行い、Googleのクローラーが巡回してきたタイミングでサイトがエラーだらけだった場合、検索エンジンはそのサイトを「品質が低い」と判断してしまう可能性があります。メンテナンスモードで正しく「503 Service Temporarily Unavailable」というステータスコードを返せば、検索エンジンに対して「サイトは一時的に利用できないだけ」と伝えられ、インデックス評価の低下を防ぐことができます。

メンテナンスモード中の表示画面の例

最もシンプルなメンテナンスモードの画面は、白い背景に「現在メンテナンス中です。しばらくしてから再度アクセスしてください。」といったテキストが表示されるだけのものです。

しかし、プラグインなどを使えば、以下のような情報を加えた、より親切な画面を自由に作成することも可能です。

  • サイトのロゴ
  • メンテナンス終了予定時刻のカウントダウン
  • SNSへのリンク
  • 問い合わせ先情報

訪問者に不便をかける期間だからこそ、丁寧な案内を心がけることが大切です。

【初心者向け】プラグインで簡単!WordPressメンテナンスモード設定方法

WordPressの大きな魅力の一つが、プラグインによる機能拡張です。メンテナンスモードも、プラグインを使えば専門知識がなくてもクリック操作だけで簡単に設定できます。特に初心者の方や、難しい操作は避けたいという方には、プラグインの利用を強くおすすめします。

メンテナンスモード用プラグインを選ぶ際のポイント

メンテナンスモード用のプラグインは数多く存在しますが、選ぶ際には以下の点を確認すると良いでしょう。

  • 最終更新日と評価: 長期間更新されていないプラグインは、最新のWordPressバージョンとの互換性に問題があったり、セキュリティ上の脆弱性があったりする可能性があります。利用者が多く、評価の高いプラグインを選びましょう。
  • 機能性: シンプルな表示だけで十分か、デザインをカスタマイズしたり、カウントダウン機能を使ったりしたいかなど、自分が必要な機能を備えているかを確認します。
  • 使いやすさ: 設定画面が直感的で、分かりやすい日本語に対応しているものが初心者には扱いやすいです。

おすすめプラグイン「WP Maintenance Mode & Coming Soon」での設定手順

ここでは、定番中の定番であり、シンプルで非常に使いやすい「WP Maintenance Mode & Coming Soon」というプラグインを例に、具体的な設定手順を解説します。500件以上の制作経験の中でも、多くのお客様に導入してきた信頼性の高いプラグインです。

手順1:プラグインをインストールして有効化する

  1. WordPressの管理画面にログインし、左側メニューから「プラグイン」→「新規追加」をクリックします。
  2. 右上の検索窓に「WP Maintenance Mode & Coming Soon」と入力します。
  3. 目的のプラグインが表示されたら、「今すぐインストール」をクリックし、続けて「有効化」をクリックします。

手順2:基本設定(一般タブ)で有効化する

  1. プラグインを有効化すると、左側メニューの「設定」の中に「WP Maintenance Mode」という項目が追加されるので、それをクリックします。
  2. 設定画面が開いたら、一番上の「一般」タブを選択します。
  3. 「ステータス」の項目で、「有効化」を選択し、一番下の「設定を保存」ボタンをクリックします。

これだけで、サイトはメンテナンスモードに切り替わります。ログインしている管理者には通常通りサイトが表示されますが、ログアウトした状態や別のブラウザでアクセスすると、メンテナンス画面が表示されるはずです。

手順3:表示画面のデザインをカスタマイズする(デザインタブ)

「デザイン」タブでは、訪問者に表示されるメンテナンス画面のデザインを変更できます。

  • タイトル(HTMLタグ): ページのタイトルタグを設定します。
  • 見出し: ページに表示される大きな見出しテキストを入力します。
  • テキスト: 見出しの下に表示される詳細なメッセージを記述します。
  • 背景: 背景の色や、好きな背景画像をアップロードして設定できます。

手順4:表示するテキスト内容を編集する(モジュールタブ)

「モジュール」タブでは、カウントダウンタイマーやSNSリンクなどの追加機能を設定できます。

  • カウントダウン: メンテナンスの終了日時を設定すれば、残り時間を表示するタイマーを設置できます。
  • SNS: 各SNSアカウントのURLを入力すれば、メンテナンスページにアイコン付きのリンクを表示できます。

これらの設定を組み合わせることで、単なるお知らせページ以上の、ブランドイメージを損なわない丁寧な案内ページを作成することが可能です。

【上級者向け】プラグインなしでメンテナンスモードを手動設定する方法

「余計なプラグインは増やしたくない」「もっとシンプルな表示で十分」という上級者の方は、プラグインを使わずに手動でメンテナンスモードを設定することもできます。ただし、ファイルの編集を伴うため、作業は慎重に行う必要があります。 事前に必ずバックアップを取得してください。

方法1:「.maintenance」ファイルを作成してアップロードする

これは、WordPressが本来持っているメンテナンスモードの仕組みを利用する方法です。

  1. まず、ローカル環境(ご自身のPC)でテキストエディタを開きます。
  2. 以下のPHPコードを記述します。 PHP<?php $upgrading = time(); ?>
  3. このファイルを「.maintenance」という名前で保存します。先頭にドットが付くことに注意してください。
  4. FTPソフト(FileZillaなど)を使ってサーバーに接続し、WordPressをインストールした一番上の階層(wp-config.phpファイルなどがある場所)に、作成した.maintenanceファイルをアップロードします。

アップロードが完了した時点で、サイトは自動的にメンテナンスモードに切り替わります。

「.maintenance」ファイルを使った手動設定のメリット・デメリット

  • メリット: プラグインが不要なためサイトが軽量。WordPressのコアな仕組みなので動作が確実。
  • デメリット: FTPソフトでのファイル操作が必要。表示されるのは「現在メンテナンス中です。」というシンプルなテキストのみで、デザインのカスタマイズはできない。

方法2:「functions.php」にコードを記述する

現在使用しているテーマのfunctions.phpファイルにコードを追記することでも、メンテナンスモードを実装できます。

  1. WordPress管理画面の「外観」→「テーマファイルエディター」をクリックします。
  2. 右側のファイル一覧から「テーマのための関数 (functions.php)」を選択します。
  3. 以下のコードを、ファイルの一番下(?> の直前)に貼り付けます。 PHPfunction maintenance_mode() { // 管理者としてログインしている場合はサイトを通常表示 if ( current_user_can( 'administrator' ) ) { return; } // 管理者以外にはメンテナンス画面を表示 wp_die('<h1>メンテナンスのお知らせ</h1><p>現在、サイトのメンテナンス作業を行っております。ご迷惑をおかけいたしますが、しばらく時間をおいてから再度アクセスしてください。</p>', 'メンテナンス中'); } add_action('get_header', 'maintenance_mode');
  4. 「ファイルを更新」ボタンをクリックします。

これで、管理者以外のユーザーがアクセスした際に、指定したメッセージが表示されるようになります。

「functions.php」を使った手動設定のメリット・デメリット

  • メリット: プラグイン不要。表示するメッセージをHTMLで自由にカスタマイズできる。
  • デメリット: ファイルの編集を誤るとサイト全体が表示されなくなる(真っ白になる)リスクがある。テーマのアップデート時に記述が消えてしまう可能性がある。

注意:子テーマの使用を推奨

functions.phpを編集する場合、親テーマのファイルを直接編集するのは避けるべきです。 テーマがアップデートされると、追記したコードがすべて上書きされて消えてしまいます。必ず「子テーマ」を作成し、子テーマのfunctions.phpに記述するようにしてください。

WordPressメンテナンスモードの正しい解除方法【プラグイン・手動】

メンテナンス作業が完了したら、忘れずにメンテナンスモードを解除して、サイトを公開状態に戻しましょう。解除方法は、設定した時と同じくプラグインの場合と手動の場合で異なります。

プラグインを使用した場合の解除手順

「WP Maintenance Mode & Coming Soon」プラグインの場合、解除は非常に簡単です。

  1. WordPress管理画面の「設定」→「WP Maintenance Mode」を開きます。
  2. 「一般」タブにある「ステータス」の項目を「無効化」に変更します。
  3. 「設定を保存」ボタンをクリックします。

これだけで解除は完了です。他のプラグインでも、同様に設定画面からステータスを無効化(Deactivate)する操作で解除できます。

手動で設定した場合の解除手順

手動で設定した場合は、設定時と逆の操作を行います。

  • 「.maintenance」ファイルで設定した場合: FTPソフトでサーバーに接続し、アップロードした.maintenanceファイルを削除します。ファイルを削除した時点で、メンテナンスモードは自動的に解除されます。
  • 「functions.php」で設定した場合: テーマファイルエディターでfunctions.phpを開き、追記したメンテナンスモード用のコードをすべて削除します。その後、「ファイルを更新」をクリックすれば解除完了です。

【トラブル解決】WordPressのメンテナンスモードが解除できない原因と対処法

「設定通りに解除したはずなのに、メンテナンス画面が表示され続ける!」これは、WordPress運用で比較的よくあるトラブルの一つです。慌てずに原因を切り分けて対処しましょう。

原因1:ブラウザのキャッシュが残っている

最も多い原因が、あなたのPCのブラウザに古い情報(キャッシュ)が残っているケースです。 対処法: スーパーリロード(Windowsなら Ctrl + F5、Macなら Cmd + Shift + R)を試してみてください。それでもダメな場合は、ブラウザのキャッシュクリア(閲覧履歴の削除)を行ってから、再度サイトにアクセスしてみましょう。

原因2:サーバーのキャッシュ機能の影響

利用しているレンタルサーバーによっては、サイトを高速化するための独自のキャッシュ機能が提供されている場合があります。このサーバーキャッシュが原因で、古いメンテナンス画面が表示され続けることがあります。 対処法: お使いのレンタルサーバーの管理画面にログインし、キャッシュを削除(クリア・パージ)する機能がないか確認してみてください。XserverやConoHa WINGなどの主要なサーバーには、この機能が備わっています。

原因3:プラグインの設定が「有効」のままになっている

単純な操作ミスとして、プラグインの設定を「無効化」にし忘れているケースです。もう一度プラグインの設定画面を確認し、ステータスが「無効化」になっているかチェックしてください。

原因4:手動設定時に「.maintenance」ファイルが残っている

WordPressのアップデートが何らかの理由で中断されたり、手動で設置した後に削除し忘れたりすると、.maintenanceファイルがサーバーに残り続け、メンテナンスモードが解除できなくなることがあります。 対処法: FTPソフトでサーバーのルートディレクトリを確認し、もし.maintenanceファイルが存在していたら、それを削除してください。これだけで解決することがほとんどです。

要注意!WordPressメンテナンスモードのSEOへの影響と対策

「メンテナンスモードにすると、Googleからの評価が下がらないか心配…」という声をよく聞きます。結論から言うと、正しく設定すればSEOへの悪影響はほとんどありません。 しかし、設定方法を誤ると評価を下げるリスクもあるため、ポイントを押さえておきましょう。

メンテナンスモードとHTTPステータスコードの関係

ユーザーがページにアクセスした際、サーバーはブラウザに対して「HTTPステータスコード」という3桁の数字を返しています。正常に表示されている場合は「200 OK」ですが、メンテナンス時には「503 Service Temporarily Unavailable」というコードを返すのが適切です。

この「503」コードは、検索エンジンに対して「このページは“一時的に”利用できないだけで、すぐに復旧します」と伝える役割があります。これにより、検索エンジンは「今は見れないだけだな」と判断し、インデックスからページを削除したり、評価を下げたりすることなく、後で再訪問してくれます。

SEOへの悪影響を避けるための2つのポイント

ポイント1:正しい「503」ステータスコードを返す

今回ご紹介した「WP Maintenance Mode & Coming Soon」のような、きちんとしたメンテナンスモード用プラグインは、有効化すると自動的にこの「503」コードを返してくれるように設計されています。手動で設定する場合も、WordPressの仕組みを利用した.maintenanceファイル方式なら問題ありません。

最も注意が必要なのは、固定ページで自作のメンテナンスページを作成し、リダイレクトなどで表示させる方法です。この場合、ステータスコードが「200 OK」(正常表示)のままになってしまい、検索エンジンが内容の薄いメンテナンスページを正式なコンテンツとして認識してしまうリスクがあります。

ポイント2:長期間のメンテナンスモードは避ける

いくら503コードを返していても、何週間、何ヶ月もメンテナンスモードが続くと、検索エンジンは「このサイトは放棄されたのかもしれない」と判断し、評価を下げる可能性があります。メンテナンス期間は、できるだけ数時間から数日程度に留めるように計画的に作業を進めましょう。

【FAQ】WordPressのメンテナンスモードに関するよくある質問

最後に、メンテナンスモードに関して特によくいただく質問とその回答をまとめました。

Q. メンテナンスモード中、自分だけログインしてサイトを確認できますか?

A. はい、できます。 ほとんどのメンテナンスモード用プラグインや、今回紹介したfunctions.phpのコードでは、「管理者権限でログインしているユーザー」はメンテナンスモードの対象外となるように設定されています。そのため、管理者は作業中のサイトをリアルタイムで確認しながら、訪問者にはメンテナンス画面を見せる、という運用が可能です。

Q. 特定のIPアドレスからのみアクセスを許可することはできますか?

A. はい、プラグインの機能や手動設定で対応可能です。 例えば、制作会社のスタッフやクライアントなど、特定の関係者にだけ作業中のサイトを確認してもらいたいケースがあります。「WP Maintenance Mode & Coming Soon」では「アクセス管理」タブで特定のIPアドレスからのアクセスを許可する設定ができます。また、.htaccessファイルを編集することでも同様の制御が可能です。

Q. メンテナンスモード中の画面をもっとおしゃれにデザインできますか?

A. はい、デザイン性の高いプラグインを使えば可能です。 「WP Maintenance Mode & Coming Soon」でも基本的なカスタマイズは可能ですが、より凝ったデザインを求める場合は、「SeedProd」や「Elementor」といった高機能なプラグインがおすすめです。これらのプラグインを使えば、ドラッグ&ドロップ操作で、プロがデザインしたような美しいカミングスーンページやメンテナンスページを作成できます。

まとめ:適切なメンテナンスモード設定で、安全・快適なサイト運用を

今回は、WordPressのメンテナンスモードについて、その必要性から、プラグインを使った簡単な設定方法、少し応用的な手動での設定方法、そしてトラブルシューティングまで、包括的に解説しました。メンテナンスモードは、サイトの品質と信頼性を守るために欠かせない、非常に重要な機能です。この記事で紹介した手順を参考に、ぜひご自身のサイトで実践してみてください。

適切なタイミングで、正しい方法でメンテナンスモードを活用することが、ユーザーにとっても、検索エンジンにとっても、そして何よりあなた自身にとっても、安心してサイトを運用していくための鍵となります。

とはいえ、「やっぱりファイルの操作は怖い」「どのプラグインが自分のサイトに一番合っているのかわからない」「メンテナンスだけでなく、サイト全体の運用について相談したい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、これまで500件以上のWordPressサイト制作・運用に携わってきた専門家集団です。お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサイト構築や、保守・運用サポートをご提供しています。もしサイトのことでお困りでしたら、いつでもお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

Hara Daizo Hara Daizo STARRY代表、Webデザイナー、Webコンサルタント

Web制作会社、Web担当者を経て独立。17年以上の実務経験で培った制作スキルとSEOノウハウを活かし、現在はSTARRY代表としてWordPressサイト制作・集客サポートを提供。ランサーズ認定ランサー。ランキング上位受賞多数。

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