WordPressサイトの運営、お疲れ様です。「せっかく書いた記事の一部を間違えて消してしまった…」「前のデザインに戻したいけど、どうすればいいか分からない」そんな経験はありませんか?
実はWordPressには、そんな「しまった!」という事態からあなたを救ってくれる、非常に便利な「リビジョン機能」が標準で備わっています。 私自身、これまで500件以上のWordPressサイト制作に携わってきましたが、この機能の重要性を数えきれないほど実感してきました。
この記事では、WordPress初心者の方でも安心してリビジョン機能を使いこなし、安全で快適なサイト運営ができるよう、その仕組みから具体的な管理方法、注意点まで、専門家の視点から徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、リビジョンに関するあらゆる疑問が解決し、自信を持ってサイトを更新できるようになるはずです。
WordPressのリビジョン機能とは?基本を分かりやすく解説
WordPressでコンテンツを作成・更新する上で、「リビジョン」は非常に心強い味方です。しかし、その性質を正しく理解していないと、かえってサイトのパフォーマンスを低下させる原因にもなり得ます。まずは、リビジョン機能の基本から見ていきましょう。
そもそもリビジョンとは?自動で変更履歴を保存する保険機能
リビジョンは、一言で言えば「投稿や固定ページの変更履歴を自動で保存してくれる機能」です。 まるでタイムマシンのように、過去のバージョンへ簡単にアクセスし、必要に応じて復元できます。あなたが投稿や固定ページを編集し、「更新」ボタンをクリックするたびに、WordPressは更新前の状態を一つの「リビジョン」としてデータベースに保存します。これにより、編集履歴が時系列で蓄積されていく仕組みです。
例えば、記事を大幅に書き直したけれど、やはり前の文章の方が良かったと感じた場合、リビジョン機能を使えば数クリックで以前の状態に戻すことができます。 手動でバックアップを取っていなくても、WordPressが自動で変更点を記録してくれる、まさに”保険”のような存在です。
WordPressリビジョン機能の具体的なメリット
リビジョン機能がもたらすメリットは計り知れません。
- 誤操作からの復旧: 間違えて文章や画像を削除してしまっても、すぐに元に戻せます。 これは、特にWordPressの操作に慣れていない初心者の方にとって最大の安心材料です。
- コンテンツのバージョン管理: デザインの変更や文章の推敲を重ねる中で、「A案とB案を比較したい」といった場合に役立ちます。各バージョンが保存されているため、いつでも見返して比較検討できます。
- 複数人での編集作業: 複数人で一つの記事を編集する場合、誰がいつ、どのような変更を加えたのかが履歴として残るため、編集内容の確認や管理が容易になります。
500件以上のサイト制作経験の中でも、クライアントが「操作を誤って大切な情報を消してしまった」という場面で、このリビジョン機能に何度も助けられてきました。
知っておくべきリビジョンのデメリットと注意点
非常に便利なリビジョン機能ですが、一つだけ大きなデメリットがあります。それは、リビジョンデータが蓄積されることで、データベースが肥大化してしまうことです。リビジョンは、投稿を更新するたびに自動で生成・保存されます。 つまり、一つの記事を10回更新すれば10個のリビジョンデータが、100回更新すれば100個のデータがデータベース内に溜まっていくのです。
このデータベースの肥大化は、サイトの表示速度の低下やサーバーへの負荷増大につながる可能性があります。 何も設定しないままだと、リビジョンは無制限に増え続けるため、このデメリットを理解し、適切に管理することが快適なサイト運営の鍵となります。
WordPressリビジョンの基本的な使い方【復元・比較】
それでは、実際にリビジョン機能を使ってみましょう。ここでは、現在の主流であるブロックエディタ(Gutenberg)を基準に解説します。操作は非常に簡単です。
リビジョン履歴の確認方法(ブロックエディタ対応)
リビジョンは、投稿や固定ページの編集画面から簡単に確認できます。
- 対象の投稿または固定ページの編集画面を開きます。
- 画面右側のサイドバーにある「投稿」タブ(または「固定ページ」タブ)をクリックします。
- 概要欄に「リビジョン: 〇件」という項目がありますので、このリンクをクリックします。
もしサイドバーが表示されていない場合は、画面右上の歯車アイコンをクリックすると表示されます。
投稿や固定ページを過去の状態に復元する3ステップ
リビジョン履歴の画面に移動したら、過去のバージョンへ復元してみましょう。
- バージョンの選択: 画面上部にあるスライダーを左右に動かすか、「前へ」「次へ」ボタンをクリックして、戻したい時点のリビジョンを探します。
- 変更内容の確認: 画面には左右で2つのバージョンが表示され、変更があった箇所がハイライトされます。左が選択した過去のバージョン、右がその一つ前のバージョン(または現在のバージョン)です。ここで内容が正しいか確認しましょう。
- 復元: 戻したいバージョンが見つかったら、画面上部にある「このリビジョンを復元」ボタンをクリックします。 これで、編集画面のコンテンツが選択したバージョンの内容に置き換わります。
復元後も、その操作自体が新しいリビジョンとして保存されるため、間違えて復元しても再度やり直すことが可能です。
2つのリビジョンバージョンを並べて変更点を確認する方法
リビジョン画面の便利な機能として、任意の2つのバージョンを比較する機能があります。画面上部の「2つのリビジョンを比較」にチェックを入れると、スライダーに2つのつまみが表示されます。それぞれのつまみを動かすことで、比較したい2つの時点を選択できます。これにより、「先週のバージョンと昨日のバージョンでどこが変わったか」といった具体的な変更履歴の追跡が簡単に行えます。
なぜWordPressのリビジョン管理は重要?サイトパフォーマンスへの影響
リビジョンの基本的な使い方が分かったところで、次になぜ「管理」が必要なのかを深掘りします。前述の通り、リビジョンは放置するとサイトパフォーマンスに悪影響を与える可能性があるためです。
リビジョンが溜まるとデータベースが肥大化しサイトが重くなる
WordPressサイトの全てのデータ(投稿内容、設定、コメントなど)は、「データベース」という場所に保存されています。リビジョンも例外ではなく、更新のたびに新しいデータがこのデータベースに追加されていきます。
塵も積もれば山となる、ということわざの通り、一つ一つのリビジョンデータは小さくても、何百、何千と溜まることでデータベース全体のサイズはどんどん大きくなります。データベースが大きくなると、サーバーが情報を読み書きするのに時間がかかるようになり、結果としてサイトの表示速度が遅くなる一因となります。
サイト表示速度の低下やバックアップ時間増大の懸念
サイト表示速度の低下は、ユーザー体験(UX)を損なうだけでなく、Googleの検索順位にも悪影響を与える可能性があるため、SEOの観点からも無視できません。
また、サイトのバックアップを取る際にも影響が出ます。データベースが肥大化していると、バックアップファイルのサイズが大きくなり、バックアップの作成や復元に非常に長い時間がかかるようになります。万が一のトラブル時に、迅速な復旧の妨げになる可能性もあるのです。
これらの理由から、リビジョン機能を有効活用しつつも、不要なデータが溜まり続けないように適切に「管理」することが、安定的で高速なサイト運営には不可欠と言えます。
【推奨】WordPressリビジョンの数を制限・停止する方法
では、具体的にリビジョンをどう管理すれば良いのでしょうか。最も安全で推奨される方法は、WordPressの構成ファイルであるwp-config.php
を編集して、リビジョンの保存数をあらかじめ制限することです。
なぜプラグインよりwp-config.phpの編集が推奨されるのか
リビジョン管理用のプラグインも存在しますが、私はwp-config.php
の編集を強く推奨しています。 その理由は以下の通りです。
- 持続的な効果: 一度設定すれば、それ以降はずっとその設定が適用されます。プラグインのように、アップデートや他のプラグインとの相性問題を気にする必要がありません。
- 軽量: 新たにプラグインをインストールする必要がないため、サイトへの負荷が最小限で済みます。プラグインの入れすぎは、それ自体がサイトを重くする原因になります。
専門家としては、サイトの根幹に関わる設定は、可能な限りプラグインに頼らず直接コントロールする方が、長期的には安定的だと考えています。
事前の必須作業!wp-config.phpを編集する前のバックアップ手順
wp-config.php
はWordPressの非常に重要な設定ファイルです。編集を1文字でも間違えると、サイトが真っ白になって表示されなくなる可能性があります。
そこで、編集前には必ずファイルのバックアップを取得してください。
バックアップは、FTPソフト(FileZillaなど)を使ってサーバーに接続し、WordPressがインストールされているディレクトリの直下にあるwp-config.php
ファイルをご自身のPCにダウンロードするだけで完了です。何か問題が起きたら、ダウンロードしたファイルを再度アップロードすれば元に戻せます。
wp-config.phpを編集してリビジョン数を制御するコード
バックアップが完了したら、wp-config.php
ファイルを開き、以下のコードを追記します。追記する場所は、ファイルの下の方にある/* 編集が必要なのはここまでです ! WordPress でのパブリッシングをお楽しみください。 */
という記述の直前です。
パターン1:リビジョンの保存数を特定の回数に制限する
リビジョンの便利さを活かしつつ、増えすぎを防ぐ最もバランスの取れた方法です。以下のコードを追記すると、リビジョンの最大保存数が5件になります。
PHP
define('WP_POST_REVISIONS', 5);
数字の5
の部分は、お好みの数に変更可能です。個人的には、3〜5回程度に設定しておくのが、実用性とパフォーマンスのバランスが良いと感じています。
パターン2:リビジョン機能を完全に無効化(停止)する
リビジョン機能を一切使わないと決めている場合は、以下のコードで無効化できます。
PHP
define('WP_POST_REVISIONS', false);
これにより、今後一切リビジョンは保存されなくなります。 ただし、前述の通りリビジョンは万が一の保険として非常に有用なため、完全に無効化するのは慎重に判断してください。私は、保存数を制限する方法を強くお勧めします。
編集が終わったら、ファイルを保存してサーバーに上書きアップロードすれば設定完了です。
溜まったWordPressリビジョンを安全に一括削除する方法
wp-config.php
でリビジョンの保存数を制限しても、それは「これから」作成されるリビジョンに対しての設定です。すでに溜まってしまっている過去の不要なリビジョンは、別途削除する必要があります。
【初心者でも安心】プラグインを使って不要なリビジョンを削除する
データベースを直接操作するのはリスクが高いため、ここでは初心者でも安全にリビジョンを削除できる、信頼性の高いプラグインを紹介します。
おすすめプラグイン1:WP-Optimize
「WP-Optimize」は、データベースの最適化に特化した非常に有名なプラグインです。 リビジョン削除もその機能の一つに含まれています。
- プラグインをインストールし、有効化します。
- WordPressの管理画面メニューから「WP-Optimize」>「データベース」を選択します。
- 最適化項目一覧の中に「投稿リビジョンをすべてクリーン」という項目があります。
- その項目の横にある「最適化を実行」ボタンをクリックします。
これだけで、安全に不要なリビジョンを一括で削除できます。定期的にこの操作を行うことで、データベースをクリーンな状態に保つことができます。
おすすめプラグイン2:LiteSpeed Cache(最適化機能の一部として)
もしご利用のサーバーがLiteSpeedサーバーで、「LiteSpeed Cache」プラグインをすでに利用している場合、新たにプラグインを追加する必要はありません。このプラグインにもデータベース最適化機能が備わっています。
- 管理画面メニューから「LiteSpeed Cache」>「データベース」を選択します。
- 「クリーンアップ」タブの中に「投稿リビジョン」という項目があります。
- 「クリーン」ボタンをクリックすれば削除が実行されます。
すでにあるプラグインの機能を活用するのは、サイトをシンプルに保つ上で賢い選択です。
【上級者向け】phpMyAdminでのリビジョン削除はなぜ非推奨か
一部の解説サイトでは、サーバーの管理ツールである「phpMyAdmin」を使ってデータベースから直接リビジョンを削除する方法が紹介されています。 しかし、私はこの方法を初心者の方には一切推奨しません。SQLクエリという専門的な命令文を実行する必要があり、操作を誤るとリビジョンだけでなく、サイトに必要なデータまで削除してしまい、最悪の場合サイトが壊れて復旧不能になる危険性があるためです。安全性が確立されているプラグインを利用するのが最も賢明な方法です。
WordPressのリビジョン機能に関するよくある質問(FAQ)
最後に、リビジョン機能についてお客様からよくいただく質問とその回答をまとめました。
Q. リビジョン機能は無効にしても大丈夫ですか?
A. 技術的には問題ありませんが、推奨はしません。リビジョンは誤操作やトラブル時の重要な保険となります。特にWordPressに不慣れなうちは、機能を無効にするのではなく、保存数を3〜5件程度に「制限」する方法をお勧めします。
Q. リビジョンの最適な保存数はいくつですか?
A. サイトの更新頻度や運営方針によりますが、多くのサイトでは3〜5件程度が最適解となることが多いです。これだけあれば、直近の数回の変更はカバーできるため、実用上ほとんど困ることはありません。
Q. 間違えて重要なリビジョンを削除してしまった場合、元に戻せますか?
A. プラグインなどでリビジョンを削除してしまった場合、残念ながらWordPressの標準機能で元に戻すことはできません。だからこそ、リビジョンの削除は慎重に行う必要があります。ただし、サーバーでサイト全体のバックアップを取得していれば、そこから復元できる可能性はあります。
Q. 「自動保存」と「リビジョン」の違いは何ですか?
A. これはよく混同されがちなポイントです。「自動保存」は、編集中に予期せぬブラウザのクラッシュやネットワーク切断が起きても作業内容が失われないように、一定時間ごとに下書きを一時的に保存する機能です。 一方、「リビジョン」は、ユーザーが「更新」ボタンを押したタイミングで、その時点のバージョンを正式な変更履歴として保存する機能です。 自動保存は各投稿に1つしか存在しませんが、リビジョンは複数保存されます。
まとめ:WordPressリビジョンを賢く活用して快適なサイト運営を
今回は、WordPressの「リビジョン機能」について、その基本から応用的な管理方法まで詳しく解説しました。
リビジョンは、いざという時にあなたを助けてくれる非常にパワフルな機能です。その一方で、放置すればサイトパフォーマンスを低下させる諸刃の剣でもあります。この記事で紹介したように、まずはwp-config.php
で保存数を5件程度に制限し、すでに溜まっているリビジョンはWP-Optimize
などのプラグインで定期的に削除する。この2つの対策を実践するだけで、リビジョンの恩恵を最大限に受けつつ、デメリットを回避することが可能です。
安全で快適なサイト運営のためにも、ぜひ今日からリビジョンの管理を始めてみてください。
もし、「wp-config.php
の編集が怖い」「自分のサイトの最適な設定が分からない」など、WordPressの運用やカスタマイズでお困りのことがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。500件以上のサイト制作・運用の経験を活かし、あなたのサイトに最適なご提案をさせていただきます。